プロのデザイナーとそうでないデザイナーの境界線があるのだとしたら、それは、自分の作ったデザインを言語化できるかどうかはその一つだと思います。
なぜならデザインは、必ず何か目的を持ってデザインされているからです。
なんとなくかっこいいから、なんとなくこのフォントがしっくりきたから、なんとなくこのデザインがいいと思ったから。ではなく、ターゲット層となる人々に届くデザインを制作するには、明確なデザイン戦略が必要となります。
商品には必ずターゲット層があります。サービスもそうです。
なのでそのターゲット層となる人がその商品やサービスを手に取り購入するようにシミュレーションをして、好まれるデザインの傾向を想定し、どこでどのようにそのデザインを目にするかまでを考えデザインしていきます。
なので、必ずデザインにはすべて理由があります。
デザインをする際の考慮すべき点。
①女性なのか男性向けなのか、それともユニセックスなのか?
②年齢層は?
③子供はいるのかいないのか?
④一人暮らしなのか家族で住んでいるのか?
⑤商品やサービスの価格帯から、ターゲット層の収入を想定する。
⑥その収入がある人が住居として好みそうな場所はどこか?
⑦ターゲット層となる人がどのような行動パターンで生活しているのか?
その商品やサービスは、競合他社と何が違うのか?
⑧その商品やサービスに対する思い入れ。
⑨会社の未来の目標。
⑩会社の今までの歴史。
少なくとも、ざっと思いついただけでもデザインをする前段階において、デザイナーが知っておく情報は最低でもこれくらいは必要です。
この一つ一つを考慮し、どうすればそのデザインが競合他社のその商品やサービスよりも選ばれる可能性が高くなるかを考えてデザインします。
ブランディングデザインにおいてなんとなくこうなったと言うのは絶対にあり得ないので、どうしてこのデザインになったのか明確に説明する義務がデザイナーにはあります。
そうなってくると、自分の作ったデザインをどうしてこのデザインになったのかを言語化する事は、デザイナーにとって大切な能力の1つです。
もしも、これからデザイナーを目指す人であれば、このことを意識するかしないかで将来の仕事の量は変わってくると思います。
そして、デザインを依頼する立場の人なら、デザイナーにどうしてこのデザインになったのか?デザインコンセプトを聞くことで、そのデザインを有効的にブランディングの1部として使うことができます。
デザインには間違いなく人を動かす力があります。
それを効果的に使いブランドイメージを確立することがブランディングデザインだと私は思います。
Kiyomi TANAKA
パリを拠点に活動するクリエーティブディレクター&デザイナー。
日本でデザイン制作会社に勤務後、独立し日本郵政公社、帝国ホテル、JAなど大手企業や有名ホテルなどのデザインを手がける、その後、渡仏、ブランディングデザイン事務所[Fleurirdesign]設立。
ブティックやサロン、クリニックやカフェなどの立ち上げからのブランディングトータルデザインの経験も多数あります。
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